CHANEL J12 H2971 とは
謎すぎる(ミステリユーズな)魅惑の変態時計 CHANEL J12 RMT H2971について記載します。
レトログラード ミステリユーズ(RETROGRADE MYSTERIEUSE)
RMTはRETROGRADE MYSTERIEUSEということなんでしょうか。
こちらのH2791は「ブラック×シルバー」ですが、「ブラック×ゴールド」や「ホワイト×シルバー」もあるようです。
目次
レトログラード ミステリユーズとは
そもそも、レトログラード ミステリユーズの意味も分かりませんので調べてみました。
「レトログラード」は針が逆に進む「逆行時計」のことのようです。
「ミステリユーズ」はミステリアスのことでしょうか。
CHANEL J12の10周年を記念して作成されたこの腕時計、パワーリザーブも10日間で、逆行部分が「失われた10分」とも表現されるようです。各10本限定。「10」にこだわって作成されたようです。
スペック
レトログラード ミステリユーズ、高耐性マットブラック セラミック、18Kホワイトゴールド、APRP社によるシャネル専用ムーブメント、トゥールビヨン、格納式リュウズ。
- リファレンス:H2971
- ケース:高耐性マットブラック セラミック
- ベゼル:18Kホワイトゴールド, 12個の高耐性セラミックのインサート
- リュウズ:ポリッシュ仕上げサーキュラーグレイン ステンレススティール 18Kホワイトゴールドに“クル・ド・パリ”パターン、高耐性ブラック セラミック ワンプッシュでポップアップする埋め込み式リュウズ
- ブレスレット:高耐性マットブラック セラミック、18Kホワイトゴールド
- ムーブメント: 手巻き (パワーリザーブ 約10日間)、トゥールビヨン パワーリザーブ
- 防水性能:30m
- ケースサイズ縦:不明
- ケースサイズ横:47mm(リュウズ除く)
- 風防直径:不明
- 厚さ:16.4mm
- ラグ幅:不明
- カレンダー:なし
- 夜光:不明
- 重量:不明
- 腕周り:不明
- 販売時期:2012年?~
- 定価:€210,000? (ユーロ 2019年09月23日 118円で約2500万円)
- 限定:シリアルナンバー入り10本限定製造
特徴
搭載されているトゥールビヨンがかすむくらいの変わった腕時計です。
主なスペック的な特徴としては「手巻き」「トゥールビヨン」「マットブラックセラミック」でしょうか。
ムーブメントが表側から見えるのもありますが、リュウズが15分方向の「正面」にあるのが外見の大きな特徴になります。
個人的にはこのリュウズが、「ほくろ」「ボトムズ」「ラピュタのロボット兵」に見えます。
分針はこのほくろの上または下を通過するのか?なんて想像してみましたが
このリュウズのために、分針が11~19分の部分を通過することができません。
そんなことってある?
これ、ずっと謎だったのですが今回調べてみて理解することができました。
↓の動画を見れば少しは分かってもらえるかと思います。
要するに、10分になると分針が逆回転し始め(レトログラード)、10分かけて20分の位置に戻るのです。これが失われた10分なのでしょう。
そして、20分位置に来たら何事もなかったかのようにまた時計回りで進んでいくのです。
では、例えば05分と11分をどう区別するのかというと、28分方向の小窓(上の画像の黄色の〇)に表示されている数字で判断するのだと思います。
これ「すごい」一言では申し訳ないくらいに「変態」なのですがこんな複雑な腕時計を作った目的や情熱は何なのでしょう。
目的は「リュウズを右側に出っ張らせたくなかった」なのかもしれませんが、その目的に対して「そこまでやる?」と思ってしまいます。情熱が桁違いです。
しかも「複雑で分かりづらくすること」に対する情熱に見えます。
こういう場合に「どんだけ~」がしっくりきます。
「そのまでやる?」と思ったのはスカイラインGT-RのエンジンRB26DETTでも使用されていた「ナトリウム封入バルブ」以来です。まぁ、こちらはしっかり意味というかメリットがあるのですが。
同じようなレトログラード機能の腕時計って他にあるのでしょうか。
世の中にはさまざまな変わった腕時計があるかと思いますが、1つの統一されたルールで表現できない腕時計ってなかなか見かけませんよね。
試しにこの腕時計を(誰でもわかるように?)プログラミング的に表現すると
XX時YY分を表す場合
1.XX時は、2周を24分割した時針の位置で示す
2.YY分は、1周を60分割した分針の位置で示す
ただし、10分超、20分未満においては別位置にある小窓の数字で時刻を示す
このように「ただし」という条件文が入るのです。
この腕時計、仕組みがすご過ぎて、すご過ぎて「無駄」の域に到達した感じがあります。
イニシャルDで「どんなにすごいテクニックも速さに結びつかなければ曲芸に終わる」的なセリフがあったかと思いますが、曲芸とも違うようなこの腕時計をどう解釈したら良いのでしょう。頭の整理が追いつきません。
「機能美」とも違う…
究極の遊び?
芸術機能? 機能芸術?
神々の 戯れ ?
作り手の理解不能な情熱に、私は惚れ込んでしまいました。
ほぼ無敵に思えるH2971ですが、個人的には「艶ありブラックセラミックだったらな~」と思います。
もしかしたらH2555が「艶ありブラックセラミック」版なのかな?
CHANEL J12 RMT 47mm H2555
ちなみにリュウズの使い方はシャネルウェブサイトにありますが、10本売り切ったら削除されてしまうのでしょうか。
この腕時計、時刻がずれても、ちょっと怖くて時刻合わせしたくありません。
レトログラード ミステリユーズについては海外サイトですが、Luxury Watches Brandsの「Recently Retired: Chanel J12 Rétrograde Mystérieuse Tourbillon Watch」というページが詳しいです。
上記ページの翻訳で
「APRPは、これまで存在しなかった問題を作成し、その問題を解決する方法を考案しました。」
という表現がありました。
ドMですね。
リュウズの出っ張り(右側)をなくすために、読みづらいことこの上ない時計にしてしまったようです。
小さな問題を解決するために、前提すら崩してしまう本末転倒の美学。
車で例えるなら、パンクしない車にするために、タイヤをアルミにして乗り心地を最悪にしてしまったような。
その小さな問題が、作り手にとっては最も大事だったのでしょうね。
€210,000 (ユーロ 2019年09月23日 118円)とのことですので、約2500万円くらいでしょうか。
動画
参考サイト
OPENERSというサイトも読みました。
CHANEL J12 RMT全般については以下記事を参照願います。
以上。
次の製品 CHANEL J12 H2978
前の製品 CHANEL J12 H2934
後記
最後までお読みくださりありがとうございます。
この他にもCHANEL J12についてたくさん書いています。以下から気になる記事を読んでいってくださるとありがたいです。
300記事くらいあるはずです。
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