CHANEL J12 RMTとは

2020-08-01




CHANEL J12にはたくさんのシリーズがありますが、その中でも「最も複雑」で「最も大きい」のが「CHANEL J12 RMT」になります。

ここではその謎すぎる(ミステリユーズな)魅惑の変態時計 CHANEL J12 RMTについて説明させていただきます。

CHANEL J12 RMT H2971

↑CHANEL J12 RMT マットブラック 47mm H2971

RMTとは

「RMT」とは

レトログラード ミステリユーズ(RETROGRADE MYSTERIEUSE)

RMTはRETROGRADE MYSTERIEUSEの略だと思われます。

レトログラード ミステリユーズとは

そもそも、レトログラード ミステリユーズの意味も分かりませんので調べてみました。

「レトログラード」は針が逆に進む「逆行時計」のことのようです。

「ミステリユーズ」はミステリアスのことでしょうか。

CHANEL J12の10周年を記念して作成されたこの腕時計、パワーリザーブも10日間で、逆行部分が「失われた10分」とも表現されるようです。各10本限定。「10」にこだわって作成されたようです。

特徴

CHANEL J12 RMT H2971
出典:https://www.chanel.com/

↑CHANEL J12 RMT マットブラック 47mm H2971

主な特徴としては以下になります。

  • APRP社によるシャネル専用ムーブメント
  • 手巻き (パワーリザーブ 約10日間)
  • 逆行機能
  • トゥールビヨン搭載
  • ケースサイズ47mm
  • ワンプッシュでポップアップする埋め込み式リュウズ
  • 2針(秒針なし)
  • 時針と分針が中抜き
  • 12時方向にパワーリザーブの表示あり
  • カレンダーなし

実は搭載されているトゥールビヨンがかすむくらいの変わった腕時計です。

ムーブメントが表側から見えるのもありますが、リュウズが15分方向の「正面」にあるのが外見の大きな特徴になります。

CHANEL J12 RMT H2971

↑CHANEL J12 RMT マットブラック 47mm H2971

個人的にはこのリュウズが、「ほくろ」「ボトムズ」「ラピュタロボット兵」に見えます。

この画像を見ると、分針がリュウズにぶつかるので1周できなそうです。

分針はこのほくろの上または下を通過するのか?なんて想像してみましたが

このリュウズのために、分針が11~19分の部分を通過することができません。

そんなことってある?

この謎について調べてみて理解することができました。

↓の動画を見れば少しは分かってもらえるかと思います。

要するに、10分になると分針が逆回転し始め(レトログラード)、10分かけて20分の位置に戻るのです。これが失われた10分なのでしょう。

そして、20分位置に来たら何事もなかったかのようにまた時計回りで進んでいくのです。

では、例えば05分と11分をどう区別するのかというと、28分方向の小窓(上の画像の黄色の〇)に表示されている数字で判断するのだと思います。

考察

これ「すごい」一言では申し訳ないくらいに「変態」なのですがこんな複雑な腕時計を作った目的や情熱は何なのでしょう。

目的は「リュウズを右側に出っ張らせたくなかった」なのかもしれませんが、その目的に対して「そこまでやる?」と思ってしまいます。情熱が桁違いです。

しかも「複雑で分かりづらくすること」に対する情熱に見えます。

「そのまでやる?」と思ったのはスカイラインGT-RのエンジンRB26DETTでも使用されていた「ナトリウム封入バルブ」以来です。まぁ、こちらはしっかり意味というかメリットがあるのですが。

同じようなレトログラード機能の腕時計って他にあるのでしょうか。

世の中にはさまざまな変わった腕時計があるかと思いますが、1つの統一されたルールで表現できない腕時計ってなかなか見かけませんよね。

試しにこの腕時計を(誰でもわかるように?)プログラミング的に表現すると

XX時YY分を表す場合

1.XX時は、2周を24分割した時針の位置で示す

2.YY分は、1周を60分割した分針の位置で示す

ただし、10分超、20分未満においては別位置にある小窓の数字で時刻を示す

このように「ただし」という条件文が入るのです。

この腕時計、仕組みがすご過ぎて、すご過ぎて「無駄」の域に到達した感じがあります。

イニシャルDで「どんなにすごいテクニックも速さに結びつかなければ曲芸に終わる」的なセリフがあったかと思いますが、曲芸とも違うようなこの腕時計をどう解釈したら良いのでしょう。頭の整理が追いつきません。

「機能美」とも違う…

究極の遊び?

芸術機能? 機能芸術?

神々の 戯れ ?

作り手の理解不能な情熱に、私は惚れ込んでしまいました。

ちなみにリュウズの使いはシャネルウェブサイトにあります。

この腕時計、時刻がずれても、ちょっと怖くて時刻合わせしたくありませんね。

レトログラード ミステリユーズについては海外サイトですが、Luxury Watches Brandsの「Recently Retired: Chanel J12 Rétrograde Mystérieuse Tourbillon Watch」というページが詳しいです。

上記ページの翻訳で

「APRPは、これまで存在しなかった問題を作り出し、その問題を解決する方法を考案しました。」

という表現がありました。

問題を作り出し…

ドMですね。

自分で作り出した問題を「解決しました」と言われても…

リュウズの出っ張り(右側)をなくすために、読みづらいことこの上ない時計にしてしまったようです。

小さな問題を解決するために、前提すら崩してしまう本末転倒の美学。

車で例えるなら、パンクしない車にするために、タイヤを金属にして乗り心地を最悪にしてしまったような。

その小さな問題が、作り手にとっては最も大事だったのでしょうね。

ラインナップ

これまでリリースされているRMTは5種類で、2020年08月現在で販売中なのはH2971のみとなります。

H2555

CHANEL J12 RMT H2555

CHANEL J12 RMT ブラック 47mm H2555

↑個人的にはRMTの中ではこれが一番好きです。

H2556

CHANEL J12 RMT H2556

CHANEL J12 RMT ブラック 47mm H2556

H2557

CHANEL J12 RMT WHITE 47mm H2557

CHANEL J12 RMT ホワイト 47mm H2557

H2971

CHANEL J12 RMT H2971

CHANEL J12 RMT マットブラック 47mm H2971

H3133

CHANEL J12 RMT H3133

CHANEL J12 RMT クロマティック 47mm H3133

表にするとこんな感じです。

セラミックベゼルカラーRef.備考
ブラックシルバーH25552010年
限定10本
ブラックゴールドH25562010年
限定10本
ホワイトシルバーH25572010年
限定10本
マットブラックシルバーH29712012年~
限定10本
クロマティックシルバーH31332013年
限定1本

価格

H2971の定価が€210,000 (ユーロ 2019年09月23日 118円)とのことですので、約2500万円くらいでしょう。

中古相場はあってないようなものですが、1000万円くらいでしょうか。

参考サイト

以上。

後記

最後までお読みくださりありがとうございます。

この他にもCHANEL J12についてたくさん書いています。以下から気になる記事を読んでいってくださるとありがたいです。

300記事くらいあるはずです。

また、CHANEL J12に関して気になることがあれば、記事下のランキングボタンの少し下にある「サイト内検索」から検索してみてください。検索エンジンでは引っかからないことも見つけられる可能性があります。

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